- 投稿日:2025年08月28日
- 最終更新日:2025年09月17日
[相続手続き完全ガイドvol.3]円満な相続を実現する相続戦略とは?|アルファの相続が大切にする家族関係の設計|アルファの相続
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【監修】川井直樹
アルファ行政書士事務所 代表取締役CEO・行政書士
本連載「相続手続き完全ガイド」では、相続手続きに関する知識をステップバイステップで解説しています。 前回の記事では、相続手続きではじめにやるべきことについて解説しました。今回は前回の記事でも触れたアルファの相続が相続手続きで大事にしている「相続戦略」について解説します。
相続手続きを「単なる事務作業」と捉えるか、「家族の将来を左右する重要な局面」と捉えるか。この違いが、相続の結果を大きく変えることをご存知でしょうか。
多くの方は、相続手続きと聞くと「書類を集めて、役所に提出して、財産を分ける」という事務的な作業をイメージされます。確かに、表面的にはその通りです。しかし、実際の相続現場では、長年の家族関係、それぞれの思い、将来への不安など、複雑な感情が絡み合います。
アルファの相続では、1,500件を超える相続案件を通じて、ある重要な事実に気づきました。それは、相続の成功は「手続きの完了」ではなく「円満な相続の実現」にあるということです。そして、円満な相続を実現するためには、戦略的なアプローチが不可欠だということも。
本記事では、アルファの相続が実践する独自の戦略的アプローチについて、実際の経験を基に詳しくご紹介します。
目次
なぜ相続に「戦略」が必要なのか

相続の本質は「人間関係の調整」
相続手続きを進める中で、最も難しいのは実は書類作成でも法律知識でもありません。家族間の関係性をどう調整し、全員が納得できる着地点を見つけるかという点です。
私たちの経験では、相続には必ず「押し付けられているキーマン」が存在します。「お姉さんやってよ」「お兄ちゃんお願い」といった形で、家族の誰かが手続きの責任を負わされているのです。そして興味深いことに、相談に来られる方の大半が、この「押し付けられた側」の方なのです。
このような状況で、単に手続きを進めるだけでは、家族間の不満や誤解が生まれやすくなります。だからこそ、戦略的なアプローチが必要になるのです。
「手続き完了」と「円満相続」の違い
多くの行政書士や司法書士は、公平中立な第三者という立場を取ります。これは法的には正しい姿勢ですが、結果として「うまくいかなくても相続人の責任」として片付けてしまうことができる立場でもあります。
「私たちはただ手続きをお願いされているだけだから」という姿勢では、家族間の調整がうまくいかなくても「そうなってしまったから仕方ない」で終わってしまいます。
しかし、アルファの相続は違います。私たちが目指すのは、単なる手続きの完了ではなく、家族全員が納得し、将来に禍根を残さない円満な相続の実現です。これは代理業務でも何でもありませんが、せっかく信頼していただいたお客様のために、裏で動いて調整することも含めて、総合的なサポートを提供しています。
1,500件の経験が教えてくれたこと
相続は「一般的なケース」というものがほとんど存在しません。家族構成、財産の種類、関係者の事情など、1件1件がユニークです。
しかし、1,500件を超える案件を経験する中で、ある程度のパターンや法則性が見えてきました。関係性を聞いただけで、ゴールまでの道筋が漠然とイメージできるようになったのです。「この関係性だったら、ここが気になるところだろうな」「じゃあ、それを解消しつつ手続きを進めれば、ゴールに行けるね」といった具合に、戦略を立てられるようになりました。
これは、まさに戦略コンサルティングのアプローチと同じです。現状分析、課題の特定、解決策の立案、実行支援という一連のプロセスを、相続という文脈で実践しているのです。
キーマンの特定と巻き込み戦略

相続における「真のキーマン」とは
相続手続きを成功させる上で最も重要なのは、「真のキーマン」を早期に特定することです。
相談に来られる方は確かにキーマンの一人ですが、それだけではありません。最終的な意思決定権を持つ人、つまり「自我がありそうな人」も重要なキーマンです。この人物を早い段階で見つけ、適切なタイミングで巻き込むことが、円満な相続の鍵となります。
例えば、相続手続きを進めていき、最終段階の遺産分割協議になってから、今まで黙っていた親族が突然自我を出してきて、「なんで俺に相談なく進めてるんだ」と言い出すケースがあります。こうなると、それまでの努力が全て水の泡になってしまいます。
早期巻き込みの重要性
キーマンを特定したら、次は「いつ、どのように巻き込むか」が重要になります。
あまりに早い段階で巻き込むと、不要な混乱を招く可能性があります。一方で、遅すぎると先述のような問題が発生します。ベストなタイミングは、ケースバイケースですが、概ね以下のような段階で巻き込むことが効果的です。
戸籍収集が完了し、相続人が確定した段階で一度状況を共有します。財産調査がある程度進んだ段階で、財産の概要を説明します。そして遺産分割協議の前に、方向性について意見を聞くのです。
このように段階的に情報を共有し、意見を聞くことで、キーマンは「自分も手続きに参加している」という意識を持ちます。結果として、最終的な合意形成がスムーズに進むのです。
関係性に応じた戦略の使い分け
家族関係が良好な場合と、疎遠または対立がある場合では、アプローチを変える必要があります。
関係性が良好な場合は、全員で集まる機会を設け、透明性の高い進め方をします。定期的な進捗報告を行い、意思決定は全員参加型で行うことが効果的です。
一方、関係性に課題がある場合は、個別にコミュニケーションを取り、中立的な立場で調整役を務めます。感情的な対立を避けるため、事実ベースで話を進め、必要に応じて専門家の意見として提案を行います。
家族関係の分析と戦略立案プロセス

初回面談で見極める5つのポイント
アルファの相続では、初回面談で以下の5つのポイントを重点的に確認します。
1. 相談者の立場と負担感 相談者がどのような経緯で手続きを任されたのか、どの程度の負担を感じているのかを把握します。
2. 家族間の力関係 誰が実質的な決定権を持っているのか、誰の意見が通りやすいのかを見極めます。
3. 過去の家族関係 これまでの付き合いの深さ、過去のトラブルの有無などを確認します。
4. 各相続人の経済状況 それぞれの生活状況や経済的なニーズを把握することで、分割協議の落としどころが見えてきます。
5. 感情的な要素 故人への思い、相続財産への思い入れなど、理屈では割り切れない感情面も重要です。
ゴールから逆算する戦略設計
私たちは、最初にゴールのイメージを描きます。そのゴールは、お客様によって異なります。
相続税の支払いを最小限に抑えたい、不動産を特定の相続人に承継させたい、家族間の関係を壊さずに手続きを終えたい、次の世代への財産承継も見据えて対策したい。こうした様々なゴールに応じて、戦略は全く変わってきます。
例えば、相続税が発生するケースと発生しないケースでは、進め方が大きく異なります。相続税が発生する場合は、10ヶ月という期限の中で、相続人の特定から財産の緻密な調査、財産評価、納税資金の確保などを並行して進める必要があります。一方、相続税が発生しない場合は、時間的な余裕を活かして、じっくりと家族間の合意形成を図ることができます。
想定されるリスクと対策
戦略立案の際は、起こりうる問題を事前に予測し、対策を準備しておくことが重要です。
よくあるリスクとして、隠れた相続人の発見があります。戸籍調査で前婚の子や認知した子が発見されるケースです。事前に可能性を説明し、発見された場合の対応を準備しておきます。
財産の漏れも要注意です。後から新たな財産が発見されることがあります。追加の手続きが必要になることを想定し、余裕を持ったスケジュールを組みます。
意見の対立も避けられないことがあります。遺産分割で意見が分かれることは珍しくありません。調停や裁判になる可能性も含めて、段階的な解決策を用意しておきます。
実践的な円満相続のテクニック

コミュニケーション戦略:雑談の重要性
私たちの打ち合わせでは、手続きの話が1割、進捗報告が0.5割、残りは全て雑談ということも珍しくありません。一見、非効率に見えるかもしれませんが、この雑談こそが円満な相続の鍵となります。
雑談を通じて、お客様の本音を引き出すことができます。表面的な要望だけでなく、本当に大切にしていることが見えてきます。また、家族関係の機微も理解できます。普段の会話から、家族間の関係性や過去の出来事が自然に語られることがあります。
そして何より、信頼関係が構築されます。「この人になら任せられる」という安心感が、円満な相続には不可欠です。
タイミングの見極め方
相続手続きにおいて、「いつ」行うかは「何を」行うかと同じくらい重要です。
遺産分割協議のタイミングは特に重要です。早すぎると感情的な対立を生みやすく、遅すぎると不信感が募ります。相続人全員の心の準備ができたタイミングを見極める必要があります。
情報開示のタイミングも慎重に判断します。財産の全容を一度に開示するのではなく、段階的に共有することで、ショックを和らげることができます。
専門家の介入タイミングも戦略的に考えます。税理士、司法書士、弁護士など、他の専門家が必要な場合、どの段階で紹介するかも重要なポイントです。
感情面への配慮と実務のバランス
相続は故人への想いや家族間の複雑な感情が絡む、非常にデリケートな問題です。しかし同時に、法的な期限や手続きも存在します。このバランスを取ることが、専門家の腕の見せ所です。
例えば、相続放棄の3ヶ月期限が迫っている場合でも、家族の感情を無視して急かすことはしません。期限の重要性を説明しつつ、家族が納得できる形で意思決定できるようサポートします。
また、遺産分割協議においても、法定相続分という基準はありますが、それに固執せず、家族の事情や感情を考慮した柔軟な提案を行います。
他事務所との根本的な違い

「手続き代行」から「伴走型サポート」へ
従来の相続専門家の多くは、「手続き代行者」としての役割に徹しています。依頼された手続きを正確に処理することが仕事であり、それ以上でもそれ以下でもないという姿勢です。
しかし、アルファの相続は違います。私たちは、相続を通じてお客様の人生に伴走する「パートナー」でありたいと考えています。
実際、相続手続きは3ヶ月から半年という期間、お客様と密接に関わることになります。その間に、私たちは親族や家族以外では、おそらくお客様のことを一番よく知る存在になります。家族関係、財産状況、将来の不安など、様々なことを共有していただく中で、単なる手続き代行を超えた関係性が生まれるのです。
継続的な関係性の価値
多くの事務所では、手続きが完了すれば関係も終了します。しかし、相続手続きが終わっても、お客様の人生は続きます。
例えば、今回お父様の相続でお母様が財産の大部分を相続した場合、将来お母様の相続(二次相続)が発生します。その時に備えて、生命保険の活用や不動産の整理など、今から準備できることがたくさんあります。
また、相続した不動産の管理や売却、相続税の税務調査への対応、新たに発見された財産の処理など、手続き完了後も様々な課題が続きます。
私たちは、こうした継続的なニーズに応えるため、手続き完了後も定期的に連絡を取り、お客様の状況を確認しています。「最近どうですか?」という何気ない会話から、新たな課題や不安が見つかることも少なくありません。
地域密着だからこそできること
アルファの相続は、江東区に拠点を置く地域密着型の事務所です。この「地域密着」という特性も、円満な相続を実現する上で重要な要素となっています。
地域の特性を理解しているからこそ、お客様の背景や事情を深く理解できます。長年この地域で生活されてきた方々の価値観や慣習を知っているため、より適切なアドバイスが可能です。
また、地域の専門家ネットワークも強みです。信頼できる税理士、司法書士、弁護士、不動産業者など、必要に応じて最適な専門家をご紹介できます。
戦略的アプローチがもたらす成果

家族関係の維持・改善
円満な相続を実現することで、家族関係が維持されるだけでなく、むしろ改善されることもあります。
相続をきっかけに疎遠だった親族が再び交流を持つようになったケース、長年のわだかまりが解消されたケース、家族の絆がより深まったケースなど、様々な positive な変化を見てきました。
これは、単に財産を分けるだけでなく、家族全員が納得できるプロセスを経たからこそ実現できる成果です。
次世代への良い影響
円満な相続は、次の世代にも良い影響を与えます。
子供たちは、親世代がどのように相続を進めたかを見ています。円満に解決した経験は、将来自分たちが相続に直面した時の良いモデルとなります。逆に、揉めた相続は、次の世代にも影を落とすことになります。
また、相続を機に家族で将来について話し合うことで、次の世代への財産承継の準備も進められます。遺言書の作成、生前贈与の検討、家族信託の活用、生命保険の活用など、様々な対策を家族全員で考えることができます。
精神的な負担の軽減
戦略的なアプローチにより、相続手続きの精神的な負担を大幅に軽減できます。
特に、手続きを押し付けられたキーマンの方の負担軽減は重要です。一人で抱え込まず、専門家がサポートし、他の相続人も巻き込みながら進めることで、負担を分散できます。
また、先の見通しが立つことで、不安も軽減されます。「いつまでに何をすればいいのか」「どのような結果になりそうか」が分かることで、精神的な安定を保てます。

まとめ:円満な相続は戦略から生まれる

相続は、単なる財産の承継手続きではありません。家族の歴史を引き継ぎ、未来へつなぐ重要な局面です。だからこそ、手続きの完了だけでなく、円満な相続の実現を目指すべきなのです。
アルファの相続が実践する戦略的アプローチの要点をまとめます。
ゴール設定の重要性:手続き完了ではなく「円満な相続」をゴールに設定することが、全ての出発点です。
キーマンの特定と巻き込み:相談者だけでなく、真のキーマンを早期に特定し、適切なタイミングで巻き込むことが成功の鍵です。
家族関係の分析:1,500件の経験から、関係性のパターンを読み取り、最適な戦略を立案します。
コミュニケーション重視:雑談を含めた丁寧なコミュニケーションで、信頼関係を構築し、本音を引き出します。
継続的なサポート:手続き完了後も関係を継続し、二次相続対策など将来を見据えたアドバイスを提供します。
これらは、単なる理論ではありません。1,500件を超える実践の中で磨き上げられた、実効性のあるアプローチです。
私たちは、これを当たり前のこととして自然に実践していますが、実はこうした戦略的なアプローチを取る専門家は多くありません。多くの事務所が「手続きの正確性」を重視する中、私たちは「家族の幸せ」を重視しています。
江東区の円満な相続の実現はアルファの相続に

相続において最も大切なのは、家族全員が納得し、将来に禍根を残さないことです。そのためには、単なる手続きの知識だけでなく、人間関係を調整し、全体最適を図る戦略的なアプローチが必要です。
アルファの相続では、BTOBのビジネスで培われた戦略コンサルティングの手法を、相続という場面に応用しています。担当者を動かすだけでなく、決裁者まで動かす。表面的な要望だけでなく、本質的なニーズを見極める。短期的な解決ではなく、長期的な関係性を重視する。
こうしたアプローチは、一見遠回りに見えるかもしれません。しかし、結果として最も確実に、最も満足度の高い相続を実現できるのです。
相続は人生で何度も経験するものではありません。だからこそ、確実に円満な相続を実現できる専門家を選ぶことが重要です。私たちアルファの相続は、お客様の人生のパートナーとして、単なる手続き代行を超えた価値を提供いたします。
家族の幸せを守りながら、スムーズに相続を進めたいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。1,500件の経験と、戦略的アプローチで、あなたの家族にとって最適な相続を実現いたします。
初回相談は無料で承っております。相続に関してのご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。経験豊富な専門家が、あなたの状況に応じた最適なアドバイスをご提供いたします。
監修者

川井直樹
ALPHAGROUP 代表取締役CEO・行政書士
在学中に行政書士資格を取得。国内トップクラスの企業グループでの相続業務経験を経て、ALPHAGROUPを創業。
江東区に事務所を構え、「相続・終活」に特化したサービスを展開。依頼者に寄り添った、安心できる相続手続きをサポートしています。
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